新人事・給与制度等に関する等求書
2012年 5月29日 郵産労 交 第14号 郵便事業株式会社 代表取締役社長 鍋倉 眞一 殿 郵 政 産 業 労 働 組 合 中央執行委員長 廣岡 元穂 新人事・給与制度等に関する等求書 郵政グループ各社における社員の給与引き上げはここ数年据え置かれ、労働条件全般につ いても悪化の一途をたどってきました。それどころか、宅配統合失敗による経営責任の転嫁 が社員に押しつけられ、年平均約50万円のボーナスカットは社員のモチベーションを下げ 続けさせてきました。社員が等しく実感できる処遇の改善は待ったなしの状況といえます。 4月27日、改正郵政民営化法案が成立し、新たな状況変化の中で会社経営が求められる こととなりました。社員が自信をもって生き生き働くことができる職場環境の整備はこれま た緊急の課題となっています。その結果として、処遇の飛躍的な改善も必要となっています 。 2012年4月3日提案の「人事・給与制度の概要(案)」及び「各種手当制度の概要( 案)」は、こうした社員の実態を改善する立場から提案されるべきものと考えます。しかし 提案内容を精査した時、その内容は、給与、賞与、退職手当等すべてに亘って労働者間の競 争によって格差拡大を図るというもので、職場荒廃を引き起こす危険をはらんだものとなっ ています。しかも、給与原資全体を変えずに労働者間の競争によってもたらされた原資を再 配分するもので、それによって生産性を上げていくという、会社にとっては極めて好都合の 制度設計となっています。制度移行にあたって給与減少層は現給保障されるものの、基礎昇 給停止、年齢が40代で生まれる可能性も否定できません。これでは働きがいの創出どころ か将来への不安を駆り立てるものでしかありません。 郵産労は、制度改正にあたっては、全労働者が等しく処遇改善を実感でき夢と希望を持っ て働くことのできる「人事・給与制度」等が必要であると考えています。そのための要求書 を以下提出します。早急なる回答と交渉を求めるものです。 記 1 4月27日に成立をした「改正郵政民営化法」は、それまでの5社体制から4社体制へと大 きく変わることとなりました。すでに提案されている「新人事・給与制度」等の内容に与 える影響と見直しされる部分について明らかにすること 2 評価制度について (1)この2年間、評価者資質向上のための施策が取り入れられ実施されてきました。公平 ・公正なる評価の下で、納得感の得られる評価結果の反映は極めて重要なポイントと考 えます。この2年間の取り組み状況と評価を総合的に明らかにすること (2)評価結果の処遇への反映は、本人のモチベーションを維持し高めていくことはもちろ んその家族の生活を支えていく上で慎重な扱いが求められます。したがって最終評価者 は管理社員に特化した制度設計とすること (3)評価結果の処遇への反映は、絶対評価の後相対選考が行なわれることとなっています これではどんなに「頑張っても」プラス評価とはならず、あるいはマイナ評価で処遇に跳 ね返る可能性を残すことになります。評価結果の反映は絶対選考とす ること (4)査定区分のボーダーライン上に多数の労働者が存在する場合、相対選考によるその区 分方法を導入した場合、より客観性が求められます。区分する場合の基本的な考え方を明 らかにすること (5)業績評価及び職務行動評価の各項目の具体的内容を明示し、それぞれのウエイトにつ いても各級ごとに明らかにすること (6)やむなく軽業業務に従事せざるを得ない役職者や一般社員、8割勤務者の評価制度の あり方・その内容について、現状と比較して変化あるのかどうか明らかにすること (7)役職にリンクした人事・給与制度だけに、その前提となる昇任・昇格基準の明確化は 重要です。労働者の意欲、納得性を得るためにも、その基準は透明性を持ったものに抜本 改善すること @ 先に捷出した「新人事・給与制度改革に関する要求書」の回答によれば「昇任につ いては、勤務成績に基づき適正に実施しているところである」となっていますが、現 実の運用においては、説得力、納得性を持ったものとなっていません。透明性を持っ た基準に抜本改正すること A 上位への役職志願制にらいても、同様の要求書への回答は「適切に運用していると ころである」との回轡こなっていますが、客観性・納得性・説得力を持った運用とな っていません。昇任できない場合、その理由説明も行なわれていません。受験者が納 得でき、次回試験にむけて意欲を掻き立てる運用に抜本改正すること B 昇任・昇格については、評価結果点数の上位者から一定枠上位の役職に優先登用す る制度を検討すること (8)新たに業績評価に新設される「組織貢献加点」について詳細を明らかにすること (9)「昇給」・「賞与」への「業績評価」及び「職務行動評価」のウエイトを変更する理 由を明らかにすること (10)昇給・賞与における「業績評価」と「職務行動評価」の割合が、現行と比較して格差 が拡大しているので見直しを行うこと (11)「業績評価」の「営業・業務実績」における販売指標の達成について、その指標設定 基準や担務、支店等の置かれた状況による販売機会等、どのように社員の納得性・公平 性を得る基準設定をとするのか、考え方を明らかにすること (12)「業績評価」において業務上のミス・交通事故に対する加減算ポイントについて、郵 便内務・外務における具体的項目及び基準・内容を明らかにすること 3 職務・等級について (1)(新)一般職について @導入する具体的理由を明らかにすること A非正規社員からの登用が「(新)一般職」に限定されていることの理由を明らかに すること B登用する人数を明らかにし、現主任・一般層に占める年度別比率推移のシュミレー ションを示すこと C「地域基幹職」等へのコース変更に伴う試験時期及びその内容について明らかにす ること D1級だけに限定せず増級すること E正社員の中に格差貸金体系が生じることへの見解を明らかにすること F地域手当の具体的金額について明らかにすること (2)「地域基幹職」などに所属する社員の転勤や配転のあり方について明らかにすること また、育児休暇や介護休暇などの取得に際し、不利益が生じないようすること (3)管理社員及び役職者の配置基準について抜本的に見直しを図ること。また、その登用 のあり方に関しても、本人のモチベーションが高められる透明性を持った細度として見 直しを行なうこと 4 給与について (1)現在65歳まで正社員として働くことが大きな流れとなっています。60歳定年制を 前提とした基礎昇給停止は見直していく必要があります。基礎昇給停止年齢の引き上げ を行なうこと (2)提案されている(案)によれば、会社持ち出しの総人件費は変わらず、社員への評価 結果によって原資配分を行なうという極めて都合の良い内容となっています。 会社持ち出しの原資増について検討すること (3)調整額の手当化によって安定し、た給与体系が崩れることとなります。現行調整額に ついてはさらなる役割基本給への移管を行なうこと (4)役割成果給における基準額の1級から4級までの上限格差額は、3万3千円の範囲内 で設定すること (5)人事評価に基づく査定昇給の実施は、現状以上に社員間の給与格差を生み出す仕組み となっています。査定区分における分布比率や実施年は現状並みとすること (6)昇給における「業績評価」と「職務行動評価」のウエイトについては現状並みとする こと (7)各級における給与増加層から給与減少層へ移行する年齢は、2級で39歳、3級で4 4歳、4級で50歳となっています。現給保障者のモチベーション維持の方向性を示す こと (8)現給保障については「手当化する調整額分」についても保障すること (9)経営効率化勧奨退職調整額については引き上げの方向で検討すること 5 賞与について (1)この2年間、賞与減額措置によって生活への影響は計り知れないものがありました。 新人事制度における賞与支給給率のあり方について明らかにすること (2)「業績評価」と「職務行動評価」のウエイト割合については現状並みとすること 6 退職手当について (1)退職手当は、社員の生活設計を行う上で大きなウエイトを占めています。ポイント制 及び査定評価等の導入はこの生活設計を危うくさせるものです。退職手当支給に関わる 見直しは行わないこと (2)役職定数に限りがある中で、毎年それにリンクした内容で退職手当が計算される仕組 みは問題です。意欲ある社員のモチベーションを高めるためにもすべて役職に結びつい た制度には無理があります。見解を明らかにすること (3)毎年の貢献度は、昇任による高い等級へのステップアップや賞与への厚遇によって二 重に処過される制度となっています。さらに退職手当含めた厚遇措置は、三重に社員間 に格差広げるものとなります。見解を明らかにすること (4)勤続ポイント及び各級の役割等級ポイント、人事評価に基づく加減算について明らか にすること。なお、その設定基準についても明らかにすること (5)制度移行にあたり、移行時の現行制度の退職手当水準を「既得権」として保障するこ とが明らかになっています。各年齢・勤続年数別に新制度適用のあり方を明らかにする こと 7 手当について (1)今回、新たに業績手当が提案されています。提案に至るまでの経過と基本的考え方に ついて明らかにすること (2)業績手当に関しては、市場性や地域性が大きく影響すると考えられます。また、おか れた支店の状況もそれぞれ異なります。どのように公平性を確保するのか考え方を明ら かにすること (3)これまでの業務調整額や関連手当の支給実績を考慮する必要があることから、支社や チーム・個人の配分おいて整合性のあるものとすること 8 その他 (1)高齢者再雇用制度の見直しについて、詳細な検討状況について明らかにすること。 なお、Uターンを希望する再雇用社員については、自分の希望する勤務地選択ができる 制度とすること (2)「55歳以降の短時間社員制度」の具体的検討状況について明らかにすること。なお 、65歳まで働き続けることができる多様な勤務制度の設計を行なうこと (3)新たな人事・給与制度は、これまで以上に評価結果がダイレクトに処遇に反映される 仕組みとなっています。現在の苦情処理制度に対する評価・総括を行ない、年度別苦情 処理件数を明らかにすること。また、新たな制度に即した見直しも行なうこと 以上 |