2010年11月22日 北海道新聞朝刊より |
かんぽの宿鑑定に疑惑
評価額、1年で3分の1 |
日本郵政が全国にある宿泊・保養施設「かんぽの宿」の一括売却を図った問題で、2
007年の不動産鑑定評価について国土交通省が「国の基準に違反した疑いがある」と
して調査を始めたことが21日分かった。前年の鑑定から評価額が大幅に下がっておりオ
リックスグループへの売却を急いだこととの関連が指摘されていた。同省は鑑定を担当
した20人以上の不動産鑑定士から話を聞き、評価の根拠などを確認する方針。
関係者の話などによると、民営化前の日本郵政公社が鑑定業者3社に依頼したかんば
の宿など計約70施設の不動産鑑定評価は、06年度が300億7千万円だったが07年度は
約3分の1の97億6千万円。同様の土地や建物の調達時のコストを見積もった「積算
価格」から約95%減額された物件もあったという。最終的な評価額は積算価格のほか物
件がどの程度収益を生むかや市場分析なをを考慮し総合的に決定するとされている。国
交省の基準は「不動産の効用が最高度に発揮される使用」を前提とした評価を義務付け
ている。
かんぽの宿の鑑定評価をめぐっては、民主党の松野頼久衆院議員が今年8月の予算委員
会で、日本郵政側が鑑定士に評価額引き下げを働き掛けたのではないかと追及。参考人
として出席した日本郵政幹部は「これで売却可能な価格なのか、と議論がなされたと聞
いている」と明かし、原口一博総務相(当時)が「売れないので見直してほしいとはと
んでもない話」と答弁していた。
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鑑定先を信頼して依頼しており、結果は公正だったと判断している。国土交通省の調
査は把握しておらずコメントできない。
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かんぽの宿一括売却問題
郵政民営化に当たり、「かんぽの宿」は2012年9月までに譲渡するか廃止することが
決まった。日本郵政は08年12月、公募の結果、オリックスグループに一括売却すると発
表。総額約109億円で契約を結んだものの、当時の鳩山邦夫総務相が「出来レースと
疑われる恐れがある」と強く反発した。結局、日本郵政とオリックス側は契約解除で合
意。昨年12月には、かんぽの宿の譲渡禁止も盛り込んだ日本郵政株式売却凍結法が成立
した。 |
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