2011年01月29日 北海道新聞朝刊より |
郵便事業会社 1千億円赤字も 顧客離れで毎年度 |
日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)は28日、遅配問題の影響で顧客離れ が進んでいる宅配便「ゆうパック」事業について、このままでは毎年度1千億円を超 える営業損失が出る恐れがあると明らかにした。2010年9月中間決算の大幅赤字を受 け総務省に提出した収支改善策の中で説明した。 ゆうパックはヤマト運輸や佐川急便との競争激化で、日本通運の「ペリカン便」を 統合する以前から苦戦。顧客離れが進んでいるにもかかわらず、経費が高止まりして いることが多額の赤字の要因。経費の約7割を占める給与やボーナスなど人件費削減 による抜本策が急務なことを裏付けた。 日本郵便は改善策で、集配運送費の削や人貞配置の見直しにより、12年度に決算全 体での営業損益を単年度で黒字化する方針を表明したが、人件費削減には踏み込まず 、引き続き検討中との説明にとどめた。黒字化が達成できるかは不透明だ。 ゆうパックは統合に伴う遅配問題が起きた7月以降の3ヵ月間、取り扱い個数が当 初計画を613万個下回る9731万個に減った。問題収束後も再発防止策など経費 削減は進んでいない。 改善策は現時点では主に、ゆうパックの集配人員配置の効率化や集配委託費が割高 な業者との契約条件の見直しなどを進める。これらの改善策では赤字を解消するのは 難しいが、人件費の削減をめぐる今後の労使交渉の見通しなどについては明言を避け た。 日本郵便の中間決算は、郵便物の減少など構造的な要因に、ゆうパック遅配問題の 損失が加わり、営業赤字が928億円、純損益の赤字も593億円に上った。同省は 今後の郵便事業への影響を懸念し同社に改善策の報告を求めていた。 |
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