2011年01月29日 朝日新聞朝刊より |
郵便事業に成果主義 12年度に営業黒字化 改善策提出 |
昨年7月の宅配便「ゆうパック」の統合などで経営が悪化じている日本郵政グルー プの郵便事業会社(JP日本郵便)は28日、経営改善策を総務省に連出した。成果主 義的な給与体系の導入や人員配置の見直しで収支を改善し、2012年度に営業黒字への 転換をめざす。ただ、労働組合との交渉はこれからで、人件費などの具体的な削減額 は盛り込まなかった。 改善策では「がんばった社員が報われるような給与・人事体系の導入に向けた検討 をする」として、国営時代の名残である年功序列の給与体系を成果主義型に改める方 針を打ち出した。配達の個数などに応じた歩合制の導入とともに、給与やボーナスカ ットも検討し、コスト全体の7割程度を占める人件費の削減をめざす。 改善策には盛り込まれなかったが、12年度の新卒者(11年4月〜12年3月の卒業予 定者)の採用は総合職、一般職とも中止する方針。一方、昨年12月から始めた非正規 社員の正社員への登用は続ける。 総務省が年度途中に経営改睾策の提出を求めたのは、「ゆうパック」と日本通運の 「ペリカン便」を10年7月に統合したことなどで、10年9月中間決算の営業損失が9 28億円に膨らんだためだ。民営化後の日本郵便は、上期が営業赤字でも下期に年賀 状販売のもうけで帳尻を合わせ、通期で黒字にしてきた。だが、今期は通期の営巣損 失は1050億円の見通しだ。 1年前から膨らんだ営業損失の6割超は、ゆうパック統合に伴う赤字だ。当初は統 合に伴う研修費や施設改修費など200倍円遵度の赤字と見込んでいたが、大規模な 遅配で、急きょ日本通運から応援職員を派遣してもらうなどしたため、損失は見込み の倍に膨らんだ。 カギを握るのは労組との交渉だ。最大の日本郵政グループ労働組合(JP労組)と は、非公式な意見交換はしているものの、本格的な交渉はこれから。適期で500億 円程度の営業利益をもたらす郵便事業も、郵便物が毎年3%程度減少しており、先行 きは読めない。 (岡林佐和、堀口元) |
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