2011年02月08日 東京新聞WEBより
日本郵政グループ 進路見えぬ赤字体質
 日本郵政グループが今後の「進路」を定められずに立ち往生している。民主党中心

の政権はグループ各社の株式売却を凍結し郵政民営化にストップをかけたが、野党が

参院で多数を占める現状では新たな経営形態を示す郵政改革法の成立は難しい。民営

化路線に戻ることも、改革法に沿った新規業務もできないまま、経営状況は悪化して

いる。

 ゆうちょ銀行、かんぽ生命、郵便局、郵便事業会社(日本郵便)でつくるグループ

の二〇一〇年九月中間連結決算の純利益は千六百五十一億円。大半はゆうちょ銀、か

んぽ生命による国債などの運用益だった。

 だが、ゆうちょ銀では貯金の預入残高が〇七年九月からの三年間で約十二兆円も減

少。約百七十六兆円となった。多くは民間の金融機関に流れたとみられるが「預入残

高が百五十兆円を切ると資産などの運用益も減少し、慢性的な赤字体質に陥る」との

試算もあり、経営は苦しい。


 経営悪化が最も深刻なのは日本郵便だ。昨年夏、子会社「JPエクスプレス」(J

PEX)の「ペリカン便」と「ゆうパック」の宅配便事業を統合したが、その際、準

備不足などが要因で三十四万件の遅配が発生し“傷口”が広がった。

 こうした中、グループは昨年末に計約八千四百人の非正規社員を正社員化したが、

このうち六千五百人を正社員化した日本郵便は今年に入り一二年四月の新卒者採用の

中止を決めた。経営の一貫性のなさも目立っている。 (上田融)

◆急速に資本減少
 
 日本郵便の株主資本は急速に減少している。2010年9月中間連結決算では、半

年前より593億円少ない1670億円となった。11年3月期は営業損失が105

0億円、純損失が540億円に達し、株主資本はさらに縮小する見込みだ。

 同社は先月「抜本的収支改善をしなければ毎年度1000億円規模の営業赤字が発

生する」との見通しを示した。そうなれば数年後に債務超過に転落する計算だ。経費

の3分の2超を占める人件費の削減が待ったなしとの指摘は多い。


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