2012年05月10日 北海道新聞朝刊より |
日本郵政、がん保険参入見送り TPP協議進展も |
環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題に関連し、日本郵政グループはがん保険への 新規参入を当面見送る方向になった。4月30日の日米首脳会談で、オバマ大統領が日本の 市場開放を促した3分野の一つについて、米国の懸念に配慮を示した形で、停滞していた TPPの日米間の協議が進展する可能性が出てきた。 「日本郵政幹部のコメントに、私がコメントを加えるのはどうかと思う」。玄葉光一郎 外相は9日の会見で、今回の見送りがTPP交渉参加への追い風になるかと問われ、そう かわした。しかし政府内には「協議が進む足がかりになる」(交渉関係者)との受け止め が広がっている。 オバマ大統領が日米首脳会談で「関心が高い」としたのは「自動車」「保険」「牛肉」 の3分野。保険は、米保険会社が日本市場でシェアの大半を占めるがん保険に、日本郵政 グループのかんぽ生命保険が参入することへのけん制だった。改正郵政民営化法成立で、 国が関与を残したまま同社が新規事業に参入できるようになったため、「公正な競争がで きない」との理由だ。 自動車については「米国の具体的な要求がつかめず、対応しようがない」(外務省幹部 )状態で、牛肉はすでに米国産の輸入制限緩和に向けて手続きを踏んでいる段階。次の一 手を模索していた。 一方、TPP慎重派の議員は「関税撤廃の例外化など、次は日本の懸念に配慮するよう 米国に求める根拠になりうる」との見方を示した。 |
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