2013年07月01日 赤旗新聞より
転勤ないが低年収 
郵政グループ提案を議論
郵政産業ユニオン大会の討論から

          「限定正社員」の先駆けか

 日本郵政グループで、正社員を、転居を伴う転勤の有無によって「地域基幹職」「新一

般職」などに分け、賃金などの処遇に差をつけるという提案がされています。安倍政権の

狙う解雇しやすい「限定正社員」制度の先駆けなのか、郵政産業労働者ユニオンの定期全

国大会(6月27〜29日)で議論になりました。

 郵政グループが来年4月から新たに導入しようとしている「新一般職」は、転居を伴う

転勤がない代わりに、従来は800万円くらいまで上がった年収が最高でも470万円程

度までしか上がらないというものです。

 大会で新一般職問題を報告した今井育繁副委員長は、「現在、新一般職の解雇基準が従

来より緩和されるわけではない。郵便局閉鎖の場合は、近隣の局に配転することなどを労

使で協議する協約がある」と説明します。

 しかし、「『限定正社員』とまったく無関係とは言い切れない。郵政職場では、非正規

雇用労働者の拡大など、政府や財界の戦略を先取りして推進してきた経過がある」と述べ

ています。

 中央本部は、問題は転居を伴う転勤の可能性があるかどうかだけで、年収400万円近

くも差をつけることが許されるかだと強調。討論では、「結局、安上がり労働者づくりで

はないのか」という声もあがりました。

 郵政職場の非正規社員は、現在約20万人。会社は「10万人正社員化」を約束しなが

ら、正社員登用の門戸を狭め、一方的な賃下げや雇い止めを行っています。

 中央本部は、会社は、非正規社員からどれだけ新一般職に採用するのかを明確にせず、

このままでは正社員化の受け皿に程遠いと指摘します。

 討論では、郵便輸送の労働者が「うちの職場はすでに、正社員の処遇を二つに分けてい

るが、基本給が10万円も下がり、業績手当を稼ぐために長時間過密労働がすすんだ」と

警鐘を鳴らしました。

 「これまで、本人の同意のない強制配転は認められないとたたかってきたが、配転前提

とされる『地域基幹職』にされたら労働者は守られるのか」「非正規社員には、『新一般

職』への期待もある。正社員化の受け皿にならないことを組合に加入していない人は知ら

ない」などの発言もありました。

 郵政産業ユニオンでは、反対の立場を基本として、団体交渉で賃金水準引き上げや正社

員採用枠拡大を求めながら、全組合規模で「新一般職」導入で職場がどうなるかの学習・

議論をすすめ、来年2月の中央委員会で方針を出すとしています。
 

あいさつする新任され.た日巻委員長と執行委員の人たち=6月29日、東京都内
   切抜帳へ | ホーム
 
inserted by FC2 system