2014年02月27日 北海道新聞朝刊より | |
日本郵政1.3兆円投資 | |
中期経営計画年20〜25局 統廃合 | |
日本郵政の中期経営計画ポイント ◎老朽化した郵便局の改修やシス テム刷新、不動産開発などに20 14〜16年度の3年間で総額1兆3000 億円を投資 ◎郵便局は都市部を中心に再編。 年間10局程度を新規出店する一 万、20〜25局を統廃合 ◎宅配便「ゆうパック」のコンビニ 受け取りや、郵便局の夜間や 休日 の営業時間拡充で利便性を向上 ◎がんぼ生命保険はことし4月に 学資保険の新商品を発売 ◎グループ全体の16年度の連結純利益3500億円を目指す |
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日本郵政が、宿泊施設「かんぽの宿」とグループで運営する逓信病院の一部を売却・縮 小する検討に入っていることが21日、分かった。日本郵政は2015年春の株式上場を目 日本郵政は26日、2014〜16年度にグループ全体で年間約4300億円、3カ年の総 額で1兆3千億円を投資することを柱とした中期経営計画を発表した。郵便局は都市部を 中心に再編し、年間10局程度の新規出店を進める一方、20〜25局程度を統廃合し合理化す る。15年春を目指す日本郵政株の上場を前に、民間企業との競争に備えて経営基盤の強化 を図る。 計画最終年度の16年度連結純利益は3500億円を目指す。13年度業績予想の4200 億円から減益となるが、記者会見した西室泰三社長は「上場までに成長の基盤固めをした い」と説明した。 設備投資では、老朽化した郵便局の改修などに5500億円を充てる。情報システムの 刷新には7900億円を投じ、物流から金融まで手掛けるグループ全体を統括するシステ ムを構築。保険金の支払い漏れが問題化したかんぽ生命保険のシステムなども改善する。 このほか郵便物の集配拠点の再編や、区分機などのシステム刷新に1600億円、不動 産開発投資に1千億円を充てる。 傘下の3事業会社ごとの収益向上策も示した。日本郵便は宅配便「ゆうパック」をコン ビニで受け取れるように改善することや、郵便局の夜間や休日の営業時間の拡充などで利 便性を高める。電子メールの普及などで郵便事業の収益環境は厳しいが、16年度に純利益 280億円を目指す。 ゆうちょ銀行は、インターネット取引の強化などで預貯金残高を3年間で6兆円増やす 目標を掲げた。かんぽ生命はことし4月に発売する学資保険の新商品を生かし、若年の顧 客を掘り起こす。一方、日本郵政とゆうちょ銀行、かんば生命の異体的な上場計画の発表 は見送った。計画策定はことし夏以降にずれ込む可能性もある。 |
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見えない成長戦略 | |
日本郵政が26日発表した初の中期経営計画は、老朽化した局舎の改修やシステム見直し などに総額1兆3千億円の巨額投資を盛り込んだ。ただ、収益拡大のための成長戦略は見 えず、2015年の上場に向け「アピール材料に乏しい」(関係者)のが実情だ。 「成長の道筋というより基礎固めの3年間」。西室泰三社長は記者会見でこう述べ、経 営基盤強化が当面の課題との認識を示した。 日本郵政は07年の民営化後、単年度の利益を優先し、設備投資を抑制してきた。その結 果、年に約300件の漏水事故が発生するなど、建物や設備は「悲惨な状況」(幹部)に 陥った。その改善を目指す今回の計画に、ある総務省幹部は「郵便局ネットワークが売り の『西室郵政』ならでは」と評価する。 しかし、「手紙離れ」など厳しい経営環境」の打開策は見えないままだ。日本郵便が力 を入れる不動産開発では具体的な目標が示されず、ゆうちょ銀行が申請中の住宅ローンな どの新規業務も、認可のめどは全く立っていな 日本郵政は15年春までに上場準備を終える方針で、具体的な上場時期などについて株主 の財務省と調整を続けている。それだけに「思い切った成長戦略は打ち出せない」(日本 郵政幹部)のも事実だが、「極めてコンサーバティブ(保守的)」(西室社長)な計画に 、政府が復興財源に当て込む上場益4兆円の確保を危ぶむ声も出ている。 |
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